歴史を守る心意気

Tomo

前の記事の中で、PEIには、築100年以上の建物が多く残されているということを、ちらりと書きましたが、今日はそのお話を。

シャーロットタウンは、とってもレトロな雰囲気のある街。
「州都」と聞くと、近代的な都会のビル街を想像しがちですが、いえいえ、そうではありません。

カラフルに塗られた木造の家々や、レンガ造りの建物が、歴史のあるしっとりとした港町を演出しています。

そんなシャーロットタウンの街を、お散歩してみると、こんなプレートのつけられた家々があることに気づくことでしょう👀

これは、築100年以上の「ヘリテージ・ハウス」につけられる、言わば、登録証のようなもの。

一度破壊されたものは、永久に戻らない。
だから、現在に残されている、自分たちの歴史を、皆の力で守っていこう!
という Heritage Places Protection Act の取り組みです。

プレートには、建てられた年号と、最初の持ち主が誰であったかが刻まれており、特に歴史的ないわれのある建物には、その経緯が記されたりもします。
登録先の違いによっては、プレートの色やデザインが違うものもあります。

グリーンゲイブルス・ハウスのように、国立史跡 National Historic Sites として国立公園と同レベルで、国(パークス・カナダ)が保存しているもの以外でも、州や市単位で、その歴史を承認して、保存しています。
学校・役所・住居などの建物、公園、歴史のある場所、何でもが登録対象です。

一般の住宅が、ヘリテージ・ハウスである場合も多く、そこに人が住んでいるというのは、少々驚かされます。
承認を受けるにあたっては様々な規則はあるものの、基本的には外観をそのまま残せば、室内の改装もOK。博物館のように手を触れずに保存するのではなく、住みながら、利用しながらも大切にして、後世に残していこうというフレキシブルさも、誰もが取り組み易い理由なのかもしれません。

このヘリテージ・ハウスを、B&B (Bed and Breakfast = 日本のペンションのような宿泊施設)にしているところもあるのですが、内装だけでなく、間取りを変更して、バスルームのなかった部屋を、バス付に改装するというのも当たり前。配管まで新しくできるので、水周りの不便さを感じることもありません。


ヘリテージ・ハウスを利用したシャーロットタウンのB&B

キャベンディッシュでご紹介した、アヴォンリー・ビレッジ内の、教会やワンルーム・スクールだって、100年も昔に、実際にモンゴメリさんが通っていたもの。他の場所にあった建物を移築して、お色直しをして、さらにアトラクションとして利用しながらも保存しているのです。

湿気の多い日本では、木造住宅なんて、何十年もするうちに土台が腐食してしまいますが、カナダは乾燥した気候なので、木造住宅でも心配なし。そして何より地震のほとんどない国なので、日本ほど耐震の心配もいらないのです。ですから、日本と同じレベルで比較することはできないのですけど、こういう話を聞くたびに、自分の国を良くするのは、自分たちなのだなぁと気付かされる思いがします。

参考 The historic places of Prince Edward The historic places of Prince Edward